サーバー移転先にVPSを勧めない理由2
運営しているサイトのアクセスが増えて、高性能サーバーへの移転を考えているお客様から、
移転先として、VPS(Virtual Private Server:仮想専用サーバー)は、どうでしょう?
といったご相談を受けることがあります。
それに対する回答は、いつも同じで、
「アクセス増の対策でサーバー移転するのでしたら、VPSは、お勧めしません」
です。
「サーバー移行先としてVPSをおすすめしない理由」でもお伝えしましたが、少し切り口を変えて、もう一度その理由をお伝えします。
移転先にVPSを勧めない理由
「サーバー料金の違い(レンタルサーバーの選び方)」にあるように、現在は、サーバーの品質とサーバーの利用料金は、ほぼ、比例しています。
その考えで料金を比較してみると、同じサーバー会社でしたら、ほぼ
共用サーバー < VPS < 専用サーバー
となっていますので、
今は共用サーバーで、アクセス増に性能が追いついていないんだから、次はVPSにステップアップしよう
と思われるのも無理はありません。
しかし残念ながら、タイプの異なるサービスを料金順に並べても、アクセス処理能力には比例しないのです。
共用サーバーと専用サーバーの違い
まず、共用サーバーと専用サーバーの違いをみてみましょう。
共用サーバー
- 1台のサーバーを複数人で使う
- 自由度が低い(サーバー機能の使用に制限がある)
同じサーバー会社でしたら、主に複数人の「人数」によって利用料金が異なります。
専用サーバー
- 1台のサーバーを1人で使う
- 自由度が高い(サーバー機能の使用制限が少ない)
同じサーバー会社でしたら、サーバー機の性能によって利用料金が異なります。
仮に、サーバー機の性能が一緒なら、複数人で使うより1人で使う方が、アクセス処理能力が高いのは容易にわかりますし、「複数人」が10人の場合と100人の場合では、10人の方が速そうなのもイメージがわくと思われます。
ここまでは、「サーバーの品質とサーバーの利用料金は、ほぼ、比例」するという考え方と一致します。
VPSは自由度が高い共用サーバー
では、VPS(Virtual Private Server:仮想専用サーバー)はどうかと言いますと、
- 1台のサーバーを複数人で使う
- 自由度が高い(サーバー機能の使用制限が少ない)
で、自由度が高い共用サーバーということになります。
専用という言葉が付いていますが、あくまでもそれは仮想で、サーバー機を全部一人で使えるわけではありません。
共用サーバーですから、アクセス処理能力は、何人で1台のサーバー機を使っているかによります。
また、自由度が高いということは、逆に言いますと、何でも自分(自社)で行わなければならない、ということでもあります。
たとえば、仮想専用サーバー環境のゲストOSが更新されたら自分でアップデートしなければなりませんし、セキュリティの設定も自分でする必要があります。
つまり、サーバー管理の手間(=管理コスト)が大きくなってしまいます。
なので、アクセス増の対策でサーバー移転する場合は、VPSではなく、今より高額な共用サーバーか、(管理をサーバー会社に任せられる)マネージド専用サーバーを、お勧めしています。
なお、もし、特殊なアプリケーションソフトを動かしたいとか、自社製のアプリケーションソフトをテストしたいという目的でしたら、自由度が高いサーバー環境を安価に使えるVPSは、お勧めです。